「薬事法」は「医薬品医療機器等法」(薬機法)に改正され2015年11月25日に施行されました。主な改正点は
  1. 売薬(一般薬)についての取り扱い方法
  2. 販売時における安全対策の強化
  3. 医療機器に関する法整備
  4. 医薬部外品や化粧品についての規制
の四点です。OTC薬全般がネット販売可能になるなど利便性が向上した反面、医療機器や医薬部外品、化粧品などに関する規制も整備され、販売業者はすべて厚労大臣による許認可制になるなど、安全面の充実に注力された内容になっています。これにより特に薬ではない“サプリメント”、“化粧品”、“トクホ食品”などをネットで広告を打つことを行うアフェリエイターや広告代理店、フリーライターの人たちは商品説明の際に使える文言対応に追われています。
今回は薬機法(旧薬事法)に関するコピー文言でお悩みの全ての方たちに向けて薬機法(旧薬事法)の攻略法を解説していきたいと思います。

そもそも薬機法(旧薬事法)とは何か?について知る

(なぜ名称が変更されたの?)

薬事法が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」(以下特に必要性がない限りは薬機法と表記していきます)に改正され、2015年の11月25日に施行されました。
薬機法(旧薬事法)ではこれまで(薬事法時代)に比べ安全対策面を強化する一方で、将来的に再生医療への対応を含めた医療行為への審査制度を新設し、薬機法とは別に再生医療新法を制定し同日に施行しています。また、医薬品とは別に医療機器の取り扱いに関する章を同法内に新たに設け、医療機器、体外診断薬(検査試薬など)に関連する法律も整備されました。
このように医薬品以外のものも統合して規制したことから名称を「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」へと改められたのです。ただし、このままでは名称が長すぎるので、便宜上国会等でも「薬機法」という通称が用いられています。

(薬機法(旧薬事法)制定の主旨)

薬機法では医薬品並びに医療機器の安全対策を強化するために、関連する全ての製造販売業者に対して最新の知見に基づいて作成された添付文書を厚生労働大臣宛に届け出ることを義務化しています。
これは薬害肝炎の問題が国会で審議された際に薬事法の不備として指定されていたことで、既に許認可を得ている医薬品や医療機器であっても最新の知見に更新された時にはその文書、文献を必ず厚労大臣に対して申告し、該当する医薬製品にはもれなく最新の知見が反映されていることを明確化する義務を課すという主旨によるものです。また、添付した文書は企業のウェブサイトにも掲載する義務を課しています。
これによって副作用等の最新情報が厚労省の下部組織である医薬品医療機器総合機構(PMDA)を通じて一元管理することが可能となり、消費者も企業のサイト等で最新情報が気軽に確認できるようになりました。これは常に最新の情報を入手できるという点においてアフィリエイターやフリーライターの方にとっても有益な措置だと思います。
また、医薬品、医療機器の品質、有効性、安全性の確保にかかる責務を国だけでなく、地方自治体(都道府県)、製造販売業者、医療関係者にも課しています(要は国が認めるような手続きを踏んで、許認可さえ降りてしまえば責任の所在が企業や医療関係者にはおよばないというリスクを回避するための措置だと考えられます)。

(薬機法(旧薬事法)の適用範囲)

アフィリエイターやフリーライター、広告代理店の執筆者に関連する薬機法の適用範囲は次の4つのカテゴリーに分けることができます。
  • 一般薬(漢方薬含む)、医療用機器
  • 化粧品、美容機器
  • 医薬部外品
  • サプリメント等の健康食品(トクホ食品含む)
この中で「サプリメント等の健康食品」については正確に言えば薬機法の適用範囲外なのですが、広告を打つ際「さも医学的な効果効能があるかのように宣伝すること」は違反行為とみなされるので、間接的に適用されていると判断して良いでしょう。つまり、薬機法で認められていない健康食品やサプリメントに、薬機法で認められている医薬品や医療用機器の効果、効能に関する表現と同じ文言を用いては、“医薬品や医療機器とそれ以外の健康関連製品との線引きが曖昧になるので禁止されている”ということになります。

薬機法(旧薬事法) に抵触するとどうなるの?

前のセクションで“「サプリメント等の健康食品」については正確に言えば薬機法の適用範囲外なのですが、広告を打つ際「さも医学的な効果効能があるかのように宣伝すること」は違反行為とみなされる”と説明しましたが、健康食品の中には一部「医薬部外品」や「トクホ食品」などが含まれます。したがって、ここでもう少し整理をつけやすいように説明を加えていきます。
  • 医薬部外品:厚生労働大臣によって許認可されている成分を配合している“医薬品以外”の製品になります。つまり、薬ではないものの、配合成分については厚労省が効果・効能を認め使用を許可しているものが含まれている製品につけられる名称です。
    また「薬用」というのは「医薬部外品」と同じ意味で使われる言葉になります(ここ「薬用=医薬品」と誤解している人が多いので要注意です)。
  • トクホ食品:トクホ食品(特定保健用食品)とは消費者庁が管轄する「健康増進法第26条第1項」に規定されている食品のことです。この食品には
    “身体の生理学的機能などに影響を与える成分が含まれていて、特定の保険効果(健康増進効果)が科学的に確認されている”ということで、国の審査を経てお墨付きをもらっている食品につけられる名称になります。

    薬機法とは管轄する法律が異なりますが、許可後に恣意的に保健の用途を強調する表現や表示をしたり、許可を受けて いない効果への表示を行ったりという問題が起これば許可の取消しの対象となることは十分にあり得るので、薬機法との関連で是非併せて覚えておきたいところです。

    つまり、医薬部外品については完全に薬機法で規制されていて、トクホ食品については薬機法に関連する法律(健康増進法)との合わせ技で抵触する表現については覚えておく必要性があるということになります。

これらのことからわかることは
“製造販売業者から申請された「医薬品っぽいもの」「医療機器らしきもの」「医薬部外品的なもの」を審査し、許認可を下すのは国でありその際の審査基準となる法律が薬機法である”
ということです。すなわち、製品パッケージのどこかに「医薬品」「医療機器」「医薬部外品」と記載されている場合は「薬機法上効果、効能をうたう文言の使用に関してOKが出ている」と判断することができるのです。

(化粧品について)

では、化粧品についてはどうでしょう?ここからは薬機法における化粧品の取り扱いについて説明していきたいと思います。
一部のネット記事等では「医薬品、医薬部外品、化粧品は薬機法上で明確に規制されています。」的な表現を見かけます。確かに薬機法に抵触しない範囲のライティングで慎重の上に慎重を期す上ではこれは間違いではありません。しかし、実際には「化粧品に関しての薬機法の規制」については以下のようになっています。
“薬機法上、化粧品の承認については商品への成分表示を省略しようとする際にのみ必要とされています”
つまり全成分表示を行っているのであれば承認なく販売することができるということになります。また、製造販売業者(メーカーと小売店)は事前にどのような化粧品を製造販売するのかを届け出るだけでいいのです。医薬品や医薬部外品に比べ許認可に関する規制は緩やかであることがわかります。しかし成分等については事前に届け出ることが義務化されていますし、審査で引っかかったものは流通させることはできません。また、化粧品の効果効能については厚労省が認めている56種類の表現以外を用いることができないという制約があります。
*化粧品に認められている56の表現についてはこちらをご覧ください。
(リンクは東京都のものですが、概要は同じです。内容が厚労省の告示よりもわかりやすくまとまっています)を参照にしてください。

(ここまでのまとめ)

薬機法では健康に関する以下の4つのカテゴリーに属する製品群については、国の審査を受けることになります。
  • 医薬品、医療器具
  • 医薬部外品
  • 化粧品
  • 健康食品(サプリメント、トクホ食品等)
この中で「化粧品」に関しては「医薬品、医療機器」「医薬部外品」に比べて規制は緩やかなものの事前審査によるチェックは受けることになりますし、「健康食品」に関しては配合成分によって薬機法の規制を受けたり、トクホ食品の場合は消費者庁が管轄する「健康増進法」との関連で規制対象となるので、宣伝時の文言には注意が必要ということになります。
そしてこれらの製品群の広告を打つ際、薬機法に抵触するような表現を用いた場合には違法行為とみなされ罰則が科せられることになるのですが、この場合規制内容が曖昧な「化粧品」と「健康食品」は特に注意が必要ということになります。
*許認可を受けている医薬品や医療機器などは効果効能をうたうことが可能なので、薬機法(旧薬事法)に抵触しやすいのは「化粧品」や「健康食品」の方になります。これをフロー化すると、
1.健康食品:(薬機法に抵触しやすい)

2.化粧品

3.医薬部外品

4.医薬品、医療機器:(薬機法に抵触しにくい)
という序列になります。

(薬機法(旧薬事法)に抵触したらどうなるの?)

薬機法(旧薬事法)は法律です。違反をすると刑事罰に問われます。最悪の場合逮捕されることもあり得ますが、では、実際にアフィリエイターやフリーライターの人たちが薬機法に抵触するような内容で記事を書いた場合どうなるのでしょう?わかりやすい例として、「万引き」を上げてみましょう。
「万引き」というと「若気の至りで起こす出来心」として見られがちで、どちらかといえば社会は「万引き」に対して寛容な態度をとりますが、犯罪の種類で言えばれっきとした「窃盗罪」が適用される事案です。もしスーパーで万引きした場合、現行犯で捉えられてもすぐには警察に引き渡されるということはありませんね。ほとんどのケースで初犯の場合には「厳重注意」で済んでしまうことの方が多いと思います。
実際には「窃盗罪」なのに初犯の場合「厳重注意」で済んでしまうのには、ある心理が作用するからだと考えられています。それは「万引き」の場合被害額も少額で、出来心から起こしてしまいがちだとう認識があることで、捕まった時に反省していると被害者(スーパー側)にも軽犯罪視して情状酌量の余地ができやすいということです。
薬機法違反も医療過誤等で薬の成分表記をごまかしたりしたら投与された人の命にかかわりかねない重大な過失となります。商品を売るための広告表現もその文言によって消費者心理を煽ることになるので、考えようによっては重大な過失に発展するリスクがあります。しかし、多くの場合「薬機法に抵触した記事を書いたからといって即逮捕」という事態にはなりません。仮に発覚したとしても「厳重注意」程度で済むことでしょう。ここにはちょうど「万引き」のケースと似たような心理状態が作用すると思われます(つまり重大な過失であるかもしれないという認識が小さいということです)。
ただし、これが厳重注意を重ねてもなんども繰り返されるとどうでしょう?「万引き」も反省が無く、再犯を繰り返せばいい加減「悪質」とみなされ警察に通報されてしまいますね。そこで「窃盗罪」が成立するわけです。薬機法(旧薬事法)違反の場合もこれと同じかもっと扱いは寛容になりますが、さすがに悪意を持って繰り返していれば通報されなんらかのペナルティが科せられることになります。

「効能」という単語はセーフ?アウト?

薬機法に抵触するかどうかを考察するネット記事などでよく言われているグレーゾーンフレーズが「効能」という言葉です。「効能」とは“ある物質の作用によって、良い結果をもたらすと考えられる働き”と定義されています。「効用」も同じ意味で用いられる言葉です。比較のために「効能」とよく混同されがちな言葉として「効果」を挙げてみましょう。
「効果」の定義は“ある一定の作用、動作、行為によってもたらされる結果”になります。混同するのも無理ないぐらいよ~く似ていますが決定的な違いがあります。それは「効果」の方が「結果」と定義されているのに対し「効能」はそうはなっていません。むしろ「経過」と定義されています。つまり、Aという成分が「効能」として作用して治癒や軽快という「効果」を導くと理解すれば良いでしょう。
英語での表現も曖昧ですが、強いて言えば
効能=efficacy(影響や作用という意味)
効果=result(結果)
と言えます。
日本の医療制度はなんらかの症状や疾患の存在がはっきりしていることで初めて保険証を使った治療(=療養の給付)が可能になります。そこで投与されるのは「薬」であって、薬には結果を出すことが求められます。したがって薬には「効果」も「効能」もあるのですが、食品の場合は「効能」は期待できても「効果」については未知数になります。ここで“薬には結果が求められる”と記載したのには必ず治験を経て副作用や効能、効果について検証された上で流通するからです。
もう少しわかりやすい例を後述しますが、結論から言えば「効能」は健康食品や一般の食品で用いても「結果」に言及していなければセーフということになります。しかし現実には多くのケースで「効能」が「効果」と同じような意味で使われ「効果」をうたっていると見なされても致し方ない使われ方をしているので、使用する際には「十分な注意が必要」ということになります。

(ナスを例にした効能の話)

「秋茄子を嫁に食わすな」という諺を聞いたことがある人も多いことでしょう。これは「ナスには体を冷やす作用があるから、寒くなり日中と夜との寒暖差が激しくなる秋口に嫁に食べさせると流産しやすくなるので食べさせちゃだめ」という戒めの意味になります(多くの人が嫁いびりの話だと誤解をしているようですが。。。)。
このように「ナス」には体を冷やすという“効能”があります。しかしナスは八百屋やスーパーで普通に売られている野菜です。八百屋やスーパーには医師や薬剤師は駐在していません。また、薬としてではなく野菜として私たちも買い求めます。ここからが少し微妙な話になりますので、皆さんも頭をよく使って考えてみてください。
例えば今夜の食事にナスの煮浸しを一品加えたいとして…八百屋さんにナスについて尋ねた場合、「ナスには体を冷やす作用があるから暑い日にはもってこいだよ」と教えてくれたとします。あなたはナスを買う気でいるため、八百屋さんのこのアドバイスは薬機法上の問題はありません。いやむしろその話を聞いてあなたがナスを買う決心をしたとしてもセーフです。何故ならナスは野菜だからです。
しかしもし八百屋さんがナスを売るという目的でナスの効能をうたった製品説明に「ナスには体を冷やす「効果」があります」と書いてしまった場合は、薬機法に抵触するおそれが出てきます。「効果」が「効能」だったとしたらセーフに近いグレーゾーンになります。何故なら「効果」とした場合は、その結果を求めてナスを買うという話になるからです(薬を買い求める時と同じ状況と見なされかねないからです)。
ただ、ナスはあくまでも野菜なので実際にはセーフになるでしょう。万が一何かペナルティを科されるとしても「効果という言葉を使ってはいけません」という「注意」を受けるぐらいです(「効能」については「効果」と混同されやすい言葉なのでグレーゾーンと見なされるということになります)。

(ナスを原料としたサプリメントの場合「効能」はどう見なされる?)

上記の八百屋の例では
  1. ナスはあくまで野菜である
  2. 八百屋の店主に悪意はない
という二つの理由からたとえ「効果」という言葉を用いていたとしても即薬機法違反に問われることはありません。では、「ナスを原料としたサプリメント」を「効果」や「効能」という言葉を用いて説明した場合はどうなるでしょう?
この場合「効果」は完全に“アウト”、「効能」は“アウトに近いグレーゾーン”になります。なぜかというとサプリメントは粉末、顆粒、タブレット、カプセルなど「薬に近い形状をしているから」です。現実的に考えて、サプリメントを導入する人の多くは「健康を取り戻したい」と願っている人たちです。その人たちに薬に近い形状で、あたかも薬であるかのごとく「効果」という言葉を用いて販売するという行為が「悪質」と判断されるわけです。
この場合の「効能」は形状が薬に近いという前提条件を踏まえて、あえて「効果」と混同されやすい言葉を用いたという行為によって野菜の時よりも黒に近いグレーと判断されることになります。このように、薬ではないサプリメントに「効果」を用いると、薬機法に抵触すると見なされることになりペナルティが科せられる条件を満たすことになります。
一方の「効能」についてはジャッジする厚労省の担当者によってアウトにもなりセーフにもなる、ということになりますが、サプリメントであれば“使わないほうが無難”という結論になります。

健康食品、一般食品、漢方、医薬品、生薬、トクホの違いを知る

このセクションでは口から摂取するものとして
  • 医薬品
  • 健康食品
  • 一般食品
  • トクホ
  • 漢方
  • 生薬
の違いについて知ってもらうためのパートになります。主に執筆活動をしているアフィリエイターやフリーライターさん向けの内容になります。

(医薬品の分類について)

医薬品はいうまでもなくある特定の疾患の治療に用いられる薬になります。医薬品には大きく分けて
  1. 医療用医薬品
  2. 一般薬(売薬)
の二種類に分類されています。どちらも薬機法は完全にクリアしているので、これらの商品説明で効果・効能をうたうことは問題ありません。二つの分類上の違いは
  • 医療用医薬品:医療機関で処方される薬。購入するには診察を受け、医師による処方箋を発行してもらい、薬剤師が常駐している調剤薬局で購入するという流れになります。
  • 一般薬(売薬):医師の処方箋がなくても購入可能な治療用の医薬品です。このカテゴリーはさらに「スイッチ薬(医療用医薬品から一般薬にスイッチして間もない薬)」、「第一類医薬品」、「第二類医薬品」、「第三類医薬品」に分けられていて、「スイッチ薬」は*OTC薬、それ以外は今回の薬事法改正によってネット通販が可能となり、*セルフメディケーションの利便性が向上しました。
*OTC薬・・・薬剤師による説明を受けてから買い求める薬
*セルフメディケーション・・・医療機関で治療を受けず、売薬などを使って自分で治すこと

(医薬部外品と医薬品の違い)

医薬部外品とは厚生労働省が認可している成分を一定以下含んでいる製品群で、「医薬品ではありません」。従って商品説明の際に「効果」という言葉を用いるのはアウトです。しかし、厚労省が認めている成分が必ず含まれているので「効能」を用いる分にはなんら問題はないでしょう。
では「医薬部外品」と「医薬品」の違いは何を根拠に区別されているかというと。。。「効果の高さ」ではなく「危険度の高さ(副作用などの強さ)」になります。医薬品(薬)には副作用がつきものであるということは誰もが知るところです。もしこの副作用の心配がない(=安全性が担保されている)ものであれば、医師や薬剤師による薬剤管理は必要ありません。危険だからこそ専門家の知識と管理が必要になるのです。従って効果の高さに着目して「医薬品」>「医薬部外品」とみなすのは間違いであるといえるでしょう。
また、「薬用」という言葉も「医薬部外品」と意味は全く同じですので誤解のないようにしてください(薬用=医薬品ではありません)。医薬品はあくまでも病気や怪我の「治療」が目的ですが、医薬部外品は「予防」や「予後」が主な目的になります。この点もあくまで「効果=結果」で選ばれる医薬品とは異なると考えます。

(食品の分類について)

医薬品と医薬部外品の分類法については上記の通りですが、それ以外の「食品群」についてはどうでしょう?
結論から言えば食品は「機能性」と「責任の所在」によって分類されているということになります。「機能性」とは医薬品でいうところの「効果・効能」のようなものですが、食品の場合その記載に関しては厳しく制限されています。従って薬機法に抵触するのは食品に関する広告表現に関する記述がほとんどを占めています。
食品の分類を一覧にすると以下のようになります。
A.一般食品:スーパーで買える食材や健康食品の類

B.保健機能食品:消費者庁が管理監督する健康増進法によって規制されている食品群
  • トクホ(特定保険用食品)
  • 栄養機能食品
  • 機能性表示食品
意外にも健康食品(サプリメント含む)は「一般食品」に分類されています。しかし消費者ニーズの関係で、機能性表示食品や栄養機能食品もサプリメントとした方が訴求力があると判断された場合はメーカー側の責任においてサプリメントとしてシリーズ化し、パッケージに「機能性表示食品」や「栄養機能食品」と記載した上で成分表示や機能性表示を行って販売している場合があります。
時々サプリメントのパッケージに
  • 栄養補助食品
  • 健康補助食品
  • 栄養調整食品
などと表示されている場合がありますが、これらは健康増進法の規制を受けない文言なので分類としては「一般食品」ということになります。この点はしっかりと区別して覚えておきましょう。

(トクホについて)

トクホ(特定保健用食品)は1商品ごとに消費者庁に申請をして審査を受け、許可を受けたものだけがそのマークを表示し、機能性表示と含有成分の表示が許可されています。安全性については企業が行った臨床実験のデーターを基に国が審査を行い、消費者庁長官が認定しています。つまり、
  • 個別の商品ごとに国に対して申請し審査を経て許認可を受ける
  • 責任は消費者庁長官にある
食品群ということになります。

(栄養機能食品について)

あらかじめ国が定めた基準に基づいて開発された食品群です。特に届出や申請は必要ありませんが、表示内容は国が定めた基準によらなければなりません。最終的な責任の所在が曖昧になりやすいというデメリットがあります。

(機能性表示食品について)

企業が検証した安全性や機能性の科学的データを示す文献等を消費者庁長官に届け出れば、国の審査を経なくても機能性表示が可能となる食品群です。トクホに比べると申請から発売までの期間が短くて済みます。ただし責任の所在はあくまでも企業側に科せられている上に機能性の表示基準は国が定めたものに限定されています。

(漢方薬の取り扱いについて)

漢方薬は現在第二類医薬品と治療用医薬品に認められているものがあり、これらは言うまでもなく「医薬品(薬)」という扱いになります。しかし、これ以外の漢方薬は食品(健康食品)に分類されるので注意が必要です。
医薬品として認められているのは成分漢方薬と言われる類のもので、すでに製薬会社で国が定めた調剤法にしたがって調合済みの製品になります。ただし、今後第二類医薬品に分類されている漢方薬は「治療薬」の許認可が取り下げられる可能性があります(現在国会において審議中です)。

(生薬とは?)

漢方薬の原料となる植物や動物由来の原料を「生薬」と呼んでいます。医療用の漢方薬となって初めて薬の扱いになりますが、生薬単独の場合は「一般食品」の扱いになりますので注意が必要です。生薬の代表的なものとして「高麗人参」があります。これも生薬の状態の高麗人参は食材としての高麗人参と同じ「一般食品」の扱いになります。

薬機法に抵触する具体的な記述例:健康食品編

ここからはライティングにあたって具体的にどのような記述が薬機法(旧薬事法)に抵触するのかを示していきたいと思います。今回は健康食品編です。
健康食品は健康増進や体力の回復を目的として導入する人が多いのですが、売り方を一歩間違えてしまうと薬と勘違いされることが多く、記事や商品説明中の表現には厳しい制限が設けられています。まずその中でも大前提として
  • 傷病名や予防を表現する記述(冷え性改善、高血圧症の予防、自律神経失調症の改善、更年期障害の予防など)
  • 身体の状態に影響を及ぼすことを記載する記述(血流を改善する、ホルモンバランスを整えるなど)
この二点に関する記述は完全にアウトだと思ってください。特に傷病名については特定の部位(胃、大腸、脳、膵臓、血管など)や病状(発熱、頻脈、心停止…)などの記載もNGということになっています。
今回は実際にサプリメントで売られていると仮定する商品を使って、セールスレターやネット記事で使える表現と使えない表現の具体的な記述法を説明していきたいと思います。
例)すっぽんサプリメント

(使用不可)

  • 病名:ED(勃起不全)、動脈硬化症、高血圧症、AGA(男性型脱毛症)など
  • 症状名:倦怠感、*高血圧、*動脈硬化、自律神経失調、更年期障害、冷え性など
  • 特定の部位:泌尿器、精巣、血管、視床下部、頭皮(皮膚)など
(使用可能)

  • 巡り、寒がり、ポカポカ、体の中心、体の表面など間接的あるいはオノマトペを用いた遠回しな表現
*医師の判断にもよりますが、高血圧や動脈硬化はその病態を示す症状名であり、これの末尾に「症」がつくと単独の病名になるというのが医療機関での一般的な使い方になります。これ以外にも「症候群」や「シンドローム」は複数の病状名を一つに集約するための方便的な使い方が一般的です。
このように直接的、かつピンポイントに
  • EDの改善
  • 高血圧の軽減
  • 自律神経失調症の予防
など特定の病名を指して、それに対して医学的な効果、効能があるような表現を用いるのは即NGであるということになります。
これに対し、例えば冷え性に対しては

  • 普段から寒がりなあなたをポカポカにしてくれます

といった具合に遠回しな表現を用いるのは可能となります。

(文言例一覧)

使用禁止:
治療や改善を意味する動詞および動名詞(抗酸化作用、アンチエイジング、上げる、下げる、改善する、減らす、増やす、調整、良くする、効果、防止する、作用など)
グレーゾーン:
現状維持を意味する動詞および動名詞(サポートする、補助する、補充、補給、味方、増やさない、減らさない、働きかける など)
単体なら使用可:
単体では何を言ってるのか分からないレベルの動詞および動名詞(ポカポカにする、サラサラにする、モリモリになる、バッキバキ、ドッサリ、サポート、応援するなど)
それでは次に実際の作文例を強度別に見ていきましょう。
強度別は以下の4段階で評価します。
強度レベル強
A.(バレると逮捕されるかもしれないレベル)

B.(バレると厳重注意は免れられないレベル)

C.(グレーゾーン・レベル)

D.(使用しても問題ないがセールスレターとしてはグズグズなレベル)
強度レベル弱
A.(バレると逮捕されるかもしれないレベル)

  • 高麗人参は冷え性を治します
  • 高麗人参は更年期障害を改善してくれます
  • 高麗人参は抗酸化作用があり、活性酸素を除去してくれます
  • マカは自律神経バランスを整えます
  • マカは男性ホルモンを増やす効能があります
  • マカは血流を改善します
  • 生姜は冷え性に対する予防効果があります
これらの表現は「冷え性」や「更年期障害」、「血流」など病気や病態を示す言葉を使っている上に、それらの症状に対し「改善効果」、「抗酸化作用」、「効能」、「予防」など治療効果や改善効果、予防効果という医学的な言葉を使って効果・効能をうたっていると判断され、即薬機法(旧薬事法)違反と判断されかねない表現になります。
B.(バレると厳重注意は免れられないレベル)

  • すっぽんは活性酸素をこれ以上増やさない
  • すっぽんはアンチエイジングに最適です
  • すっぽんエキスを飲むと元気が出てきます
  • すっぽんは滋養強壮剤として知られています
  • すっぽんはガンと闘うあなたに適したサプリです
  • すっぽんはうつ病と戦うあなたの頼もしいパートナーとしておすすめです
こちらの表現は「ガン」、「うつ病」など病名を用いていますが、それに対する医学的な効果を直接的にうたった文言ではないので、「悪質」ではあるものの薬機法(旧薬事法)違反とは言い難いため、厚労省の役人に見つかっても厳重注意を受けるレベルでしょう。しかし、それが改善されないと悪質度が高まり、薬機法(旧薬事法)違反で逮捕に至る可能性が出てきます。
C.(グレーゾーン・レベル)

  • めぐりを改善するサプリ
  • 流れを良くするサプリ
  • 表面をプルプルにしてくれます
  • キュっとクビレのあるモテボディー
  • 中からポカポカ
  • ビタミンEが多く含まれています
  • 鉄分はめぐりを良くする成分です
一見して「改善」や「予防」効果を連想させるフレーズですが、直接的な文言ではないため、厚労省としても文句のつけようがないレベルの表現です。
D.(使用しても問題ないがセールスレターとしてはグズグズなレベル)

  • 生姜はあなたをポカポカにしてくれます
  • マカでモリモリになりましょう
  • 横になってぐっすり休息できます
非常に遠回しな言い方なので問題が無いレベルです。しかしながら、例えば「横になってぐっすり休息できます」が「深夜ぐっすりと熟睡できます」という表現になるとNGになります。これは「熟睡」という健康効果が明らかな表現が用いられているからです。また、「朝、夜、深夜、日中」など成分の作用時間を具体的に示すような文言も基本的にはアウトだと覚えておきましょう。
例)「朝起きたら」は「目が覚めたら」という表現にすれば安全度は高まります。
各メーカーからネットに上げられているセールスレターを見ると、
  • 休息できた
  • 女性の微妙な年齢のイライラがすっきり
  • 更年の悩み(更年期はNGワード)
  • ぽかぽか人生
などの表現はこの辺りのレベルの表記になります。創意工夫のあるバラエティ豊かな表現ですが、ユーザーに対する訴求力はかなり落ちると言わざるを得ません。

薬機法に抵触する具体的な記述例:化粧品編

次に化粧品について考察していきましょう。
化粧品は薬機法上「医薬部外品」として取り扱われています。したがって直接的に特定の病名、病状に対する効果、効能について記述することは医療行為の一環とみなされるのでNGですが、厚労省が認めている56種類の表現については宣伝表現として認められているので、この範囲を遵守して記載していれば問題視されることはありません。
この「厚生労働大臣が認めた56の表現について」は以下のリンクを参照にしてください。これが全てです。

“http://www.piis.pref.mie.lg.jp/dat/pdf/10005756_001.pdf”